2015年1月19日月曜日

米国ミステリー作家作品の文庫価格推移

翻訳小説の価格推移が気になったので、1992年から大半の作品が同じ翻訳者から出ているマイクル・コナリー作品の文庫版について税別価格とページ数、ページ単価をまとめてみた。


コナリー作品は大半が文庫で出されており単行本経由は例外的。増刷時に価格変更等加えられていなければ推移を追うのに適している事から選定した。
なるべく手元にあるもので確認しているが、ないものは出版社サイトなど記載数字を採用している。ページ数は直接確認したものはページ番号が振られているページまでを対象にとした。(文庫の他の作品紹介ページは含めない)

コナリー作品は90年代は主に扶桑社文庫から出ていて、2000年以降に早川書房から2冊出た後は大半が講談社文庫から出ている。
余談ですが講談社文庫の翻訳小説は米国のシリーズ物が多くC.J.ボックスやウィリアム K. クルーガーなどを継続的に刊行しており、シリーズ物が多い米国ミステリー作家の作品を多くはないものの継続的に出されているという点に特徴がある。早川書房や東京創元社は単発ものが多い北欧ミステリーに注力されているように見え、米国シリーズものをあまり取り上げなくなっているので、こういった作品も読みたい読書家には大変ありがたいところ。

価格設定の傾向としては、2000年以降上・下巻合計で1500円〜1600円、ページ単価2.0円以上という設定が増えている。注目すべきは合計価格だと思う。
1500円〜1600円という価格設定だと薄めの単行本とほぼ同じ。出版社が企画する際に考えるのは発行部数と売上高でしょうから。ここで3000〜5000(講談社だと置かれている書店も多いので、もう少し部数は多いかもしれない)を掛ければ初期想定の売上高になるのではないか。

このような価格設定を見ていると早川書房がミステリーやSFでポケット版で先に出して1〜2年後に廉価な価格設定になる文庫版を出すという戦略は良く分かる。ポケット判の価格は2,000円前後なのでページ単価は文庫版より何割か高くなる。ポケット判なら単行本よりはどこでも読みやすいので読者にも買ってもらいやすい、という意図はあるかなとは想像している。(但しポケット版を置く書店は翻訳小説文庫を置く書店よりも確実に少ないという問題はつきまとう。もっとも単行本だとしてもこれは同じではある。)

マイクル・コナリー文庫版定価・ページ数リスト(上・下巻は合算)

マイクル・コナリー文庫版作品リスト
上記ページ数リストはこちらのデータを元に集計した。